Our Challenge
既存の治療法が効かない「Cold tumor(冷たいがん)」の問題
私たちの身体の免疫系、特にT細胞と呼ばれる免疫細胞は、がん細胞を特異的かつ効果的に排除することができます。この仕組みを利用した免疫チェックポイント阻害薬(PD-1抗体、CTLA-4抗体、LAG3抗体等)や遺伝子改変T細胞療法(CAR-T等)を初めとするがん免疫療法は、今やがん治療の柱の一つです。しかし、がん免疫療法の恩恵を受けられるのは、治療に反応しやすいがんを有する一部のがん患者に限られます。そこで、多くのがん患者が示す免疫療法への抵抗性の原因解明が急速に進んでいます。
治療感受性が異なるがんの比較研究に基づき、がんはその内部に元気なT細胞が豊富に存在し免疫的に活性化した「hot tumor(熱いがん)」と呼ばれるタイプと、がん内部のT細胞が少ないか疲弊していて免疫的に不活性な「cold tumor(冷たいがん)」タイプの2種類に大別できます。
Hot tumorは元々、T細胞ががんを攻撃し始めている状態にあり、がん免疫療法への感受性が高いタイプです。これに対しcold tumorは、T細胞ががんを見つけても攻撃できないか(immune-excluded)、T細胞ががんをそもそも見つけられないために(immune-ignored)、がん免疫療法で免疫系の働きを増強しても治療効果に結び付かないことが多くなります。