Tumor-Associated Macrophages and Cold Tumor
Cold tumorの原因はマクロファージ

弊社は、cold tumorタイプのがんが生まれる原因の解明と治療法の開発にフォーカスしているユニークな創薬企業です。Cold tumorが生まれる主因の一つは、がん組織内に存在する免疫細胞「マクロファージ」の違いにあることが、弊社と関連大学の研究成果を含む世界中の研究で明らかになりました。

マクロファージは本来、敵であるがん細胞に関する情報をT細胞に伝達し、T細胞の働きを支援する能力があります。しかしcold tumorでは、マクロファージはT細胞の支援をしていないか、むしろT細胞を妨害してがん細胞を助けています。そうしたがんの味方をしているマクロファージを排除するか、その細胞機能を制御してT細胞の支援をさせることで治療効果が得られることも明らかとなっています。

以上の発見から近年、マクロファージはがん免疫療法分野で最も注目されている創薬標的となっています。

Macrophage-Selective Pullulan Nanogel DDS (1)
マクロファージ選択的な薬剤送達技術
「プルランナノゲル」

弊社は、京都大学発の薬剤送達技術(ドラッグデリバリーシステム、DDS)である「プルランナノゲル」のがん免疫療法への応用を進めています。プルランナノゲルは直径が100ナノメートル以下(細胞1個の約100分の1)のゲル状のナノ粒子です。人体に無害なグルコースとコレステロールからできており、粒子の表面は電気的に中性です。非常に安全性が高いことが確認されています。

プルランナノゲルを生体に静脈内投与すると、ナノ粒子としての特性により、がん組織に集積する性質があります。皮下投与した場合には、がん組織ではなくリンパ節に速やかに集積します。興味深いことに、いずれの組織でもプルランナノゲルは常にマクロファージに取り込まれます。その機序として弊社は、プルランナノゲルがマクロファージが持つ免疫糖鎖受容体「DC-SIGN(CD209)」に特異的に結合することを明らかにしました(特許出願中)。

Macrophage-Selective Pullulan Nanogel DDS (2)
プルランナノゲルは多才なマクロファージ創薬デバイス

プルランナノゲルのさらなる特長として、その内部にペプチド、蛋白、オリゴ核酸、低分子化合物といった多様な治療成分を搭載することが可能です。

プルランナノゲルを用いれば、がん組織やリンパ節に存在するマクロファージに選択的に任意の薬剤をデリバリーすることが可能であり、マクロファージを標的とする新規がん免疫療法の開発において大変強力な創薬デバイスとなります。

弊社では、様々な治療成分を搭載したナノゲルを「T-ignite®」と呼び、新規がん免疫療法として実用化すべく多様な製品群を開発中です。