生体内細胞療法
In vivo遺伝子改変マクロファージは、体外で細胞を改変するのではなく、患者さんの体内に存在するマクロファージへ治療成分を送達し、その本来の機能を直接活用する新しい治療アプローチです。
マクロファージは免疫制御、組織恒常性、炎症、腫瘍免疫において中心的な役割を担う、豊富で多機能な免疫細胞です。異常が発生した組織へ遊走・浸潤する能力が高いことから、魅力的な治療標的となります。
Myeloid Targeting Platform™技術はマクロファージへ治療成分を選択的に送達し、病変部でその機能を再プログラムします。これにより、マクロファージが関わる多くの疾患、例えばがんや線維化疾患、自己免疫疾患などに対する新たな治療の可能性が開かれます。
がん治療への応用としては、がん細胞を認識するキメラ抗原受容体(CAR)をコードするmRNAをがん組織内のマクロファージへMyeloid Targeting Platform™で直接送達し、がん組織内で抗腫瘍性のCAR発現マクロファージ(CAR-M)へとプログラムするin vivo CAR-M療法が含まれます。
In vivo CAR-Tと比較したin vivo CAR-Mの利点
固形がんへの浸潤 — マクロファージは元来、がん組織内で最も多い免疫細胞であり、自然に固形がんへ浸潤・蓄積します。これに対しCAR-T細胞は、固形がん組織へ侵入することがしばしば困難です。
腫瘍微小環境(TME)のリモデリング — CAR-Mは、免疫抑制的で腫瘍促進性のM2様マクロファージを炎症性・抗腫瘍性のM1様表現型へプログラムし、治療に向けてTMEを再構築する可能性があります。一方、CAR-T細胞では、ブレーキ作用が強い過酷なTMEの中で機能しなければなりません。
多面的な抗がん作用 — CAR-Mは貪食を通じてがん細胞を直接排除すると同時に、抗原提示機能を通じてより広範な獲得免疫応答を誘導します。これに対しCAR-T細胞の抗がん作用は、主としてパーフォリンとグランザイムの放出という単一の細胞傷害機構に依存します。
抗腫瘍免疫の広範な活性化 — CAR-Mによる腫瘍抗原提示や炎症性サイトカイン・ケモカインの産生は、T細胞やNK細胞を含む他の免疫細胞を動員・活性化できます。これに対しCAR-T細胞の有効性は、主にCAR-T細胞自身の活性に依存します。
- 安全性向上の可能性 — CAR-M療法では、CAR-T療法で一般に問題となるサイトカイン放出症候群(CRS)や免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)のリスクが低減する可能性があります。